白戸圭一著「ルポ資源大国アフリカ」
毎日新聞社所属の記者・白戸圭一氏がアフリカ支局(南アフリカ・「ヨハネスブルク駐在)に赴任していた2004~2008年に、様々な危険を乗り越えて取材した渾身のレポートです。
資源と紛争、そして日本を始めとする先進国がどのように関わっているのか興味があって読んでみた。
レポートは、南アフリカ、ナイジェリア、DRコンゴ、スーダン、ソマリア。
世界情勢や、近年の歴史や民族問題に疎い私でも、簡潔に概況をまとめた記述があるので、紛争の背景が理解しやすかった。
とは言え、多くの危険の中での取材がよくもこれだけできたものだと、その気概に敬意を表するばかりなのです。
さて、その取材内容は、驚くことばかりで、読んでいて怒りばかりがこみ上げてきた。
南アフリカでは主に、犯罪と人身売買と売春の問題を。
ナイジェリアでは、世界に広がる犯罪組織と石油問題を。
(以前、私が読んだ「ケン・サロ・ウィワ」についても触れています)
DRコンゴでは、資源と紛争の問題。
スーダンでは、ダルフール問題に関わる石油の問題。
ソマリアでは、東西冷戦の影響が未だに残る無政府状態にある紛争の問題。
白戸さんの綿密で粘り強く、そして大胆な取材から、資源があるが故、その資源を巡って大国(先進国)の資金が流れ込み、腐敗した政府と一部の人だけが利益を得るが、多くの人々は貧困や病に苦しんでいる様子が、紐を解くようにわかってくる。
今までも、私はわかっていたつもりだけど、全然わかっていなかった。
たとえば、DRコンゴのコルタン(タンタル)については、ブログでも何回か取り上げたけど、スーダン・ダルフール地方の大量虐殺に関わっているとされている政府の民兵(ジャンジャウィードと呼ばれる)は、石油輸出の利益によって、その資金を政府が提供している。
すなわち、スーダンから石油を輸入していること事態が、虐殺に手を貸していると言っても言い過ぎではないと思うのです。
北京オリンピック開催に当たって、中国はスーダン政府を石油を買うことや資金提供で支援していることを、人道的団体から、かなり非難されたが、何もスーダンの石油を買っているのは、中国だけじゃない。
日本も輸入しているのだ。
(外務省のページを見ればわかります)
DRコンゴのコルタンも然り。
DRコンゴには、ルワンダの虐殺に関与したフツ族の一味が暴れている。
こういった、きちんとした軍隊ではない組織では兵站はなく、いわゆる“自活”なので、村が襲われたり、女性がレイプ被害にあったりする、暴力が蔓延する。
ソマリアでは、暫定政府が首都のモガディシオに入れない状態が続いている。
イスラム過激派たちの組織が制圧しているからだ。
その、イスラム過激派の資金には、中東のオイルマネーが流れているという。
日本で暮らしている限り、こういった紛争に知らず知らずのうちに手を貸していることになっているのだ。
このような、資源国アフリカと先進国を結ぶのは、暴力だと著者は言う。
その通り、副題には“暴力が結ぶ貧困と繁栄”とある。
日本では、遠い存在のアフリカの紛争かもしれないが、やはりその脅威は、北朝鮮や、中国(軍事大国)、そして、アフガンやパキスタンの問題など抱えている。
そして、つい先日発表された貧困率は、2007年は15.7%、世界ワースト4位というショッキングな結果が出た。
(これ、竹中へいぞーが、「社会的に解決しないといけない大問題としての貧困はこの国にはない」と嘘八百言ってました)
子育てにはお金がかかる、と子ども手当てが来年から支給されようとしているが、そんな子育てにお金がかかる社会にしてきたのは、誰なのか。
物欲にかられ、ハイテク機器や贅沢な生活(世界から見れば)を、普通のこととしてきたのが、今の日本の姿だ。
今、抱えている核・暴力の脅威や貧困の格差は、私たちが途上国から蝕んできた報いなのかもしれない。
でも、ぜったいに諦めない。
“ありがとう”で繋がる世界にすることを。


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